物語自動生成 続・議論の前提

続き。

「もの」と「こと」の物語性


● もの


設定、キャラクター、世界観など。ひっくるめて「設定」。
静的、事前決定的な側面が強い。


動的な設定の変化は可能ではあるが、
物語生成システムとしては、設定の変化可能な幅を事前に決定しておく必要がある。


例えば、人物の場合は以下のような感じで。
・ 初期状態では何か
・ 作中で何になり得るか、何になり得ないか。遷移の条件は何か。
・ オプション要素は何か


設定の構造 = どこが硬くて、どこが柔らかいのか
は設計時に決める必要がある。


柔らかい箇所の多さは、物語の多様さとイコールではない、はず。
(少なくとも必要十分な多様さ、という意味では)


結果として生成される物語の精度向上、作成者側のリソースの集中のしやすさ、という点では、硬い箇所を多く、柔らかい箇所は、効果的なポイントを選んで少数、とした方がよいと思われる。



● こと


出来事=シナリオ。
普通話される時はこっちが多い、と思う。多分。


シナリオの段階区分

シナリオ=出来事=こと の動的生成を考える場合の、段階区分について。
とりあえずだが、以下の三段階に区分する。(用語は不適切かもしれないが…後で)

● プロット : 「物語」の開始から終了までの一連の、大きな流れ。最大の単位。
● エピソード : 細分化された「出来事」の単位。「事件」、「イベント」。
● シーン  : 「場面」の単位。登場人物、各人の行動のレベルを扱う。


シナリオの動的生成を考える場合に、どのレベルで動的制御を行うか、がポイントになる。


いわゆる普通のアクションゲーム(体験型)の場合、プロット、エピソードは固定で、シーンの内容が動的に変化する。ただし、シーンの結果は固定で、想定外の結果になった場合はゲームオーバーになる。


ロマンシング・サガの場合、プロットレベルでは可変。有限個のエンディングが用意されている、という意味で。
エピソードの選択は、ユーザーの裁量にかなり任せられている。
シーンレベルだと、説明不足な箇所が見られる。ユーザーの想像力で補完する形。
(あんまやりこんでないけど…)


以下、各レベルでの動的制御について。

プロットレベル


大きな流れのレベルでの変化。
ユーザー体験的には、どういうオチになるかが未確定な中でのプレイになる。


考慮のポイントは、設定レベルの物語性との食いあわせ。
設定が作りこまれているほど、分岐幅が制限される。


例えば、A国とB国の戦争が題材であれば、
・A国勝利
・B国勝利
・講和
くらいがまず有り得る形で、後は、第三勢力出現など、どんどん初期設定の重要性が下がる方向になってしまう。


プロットの「終了」をどう判定するか、も問題。
物語のドラマ性を重視するのであれば、時間切れでプロット終了、という展開は避けるべき。
プロット終了を適切にコントロールする上では、プロットの変化幅は広げすぎない方がいいと思われる。

エピソードレベル


一番、動的制御(あるいは可変制御)がやりやすいレベル、と思われる。


いわゆる普通のゲームのイベント制御だと、シーンレベルが静的で、エピソードレベルが可変、という構成になる。
要は、イベントが発生するかどうかだけ制御。


可変から動的に変えようとすると、一段難易度が上がると思われ。
ここでも、動的にした際には、変化幅は設定の構造に縛られる。


例えば、FF6だとパーティーメンバーを組み換えできて、メンバーに応じてイベントが起きたりするわけだが、メンバーが動的な条件によって敵に寝返ったり、とかはないわけで。

シーンレベル


実際にキャラクターやら物が動くレベル。


実際にプレイヤーが触れる段階になるので、クオリティコントロールが難しい。
特に会話。


ハードルを上げればいくらでも上がる感あり。
シーンの結果としてのエピソードの変化、を目的にするのであればクオリティ目標は下げられる。
が、物語のドラマ性を求める、という目標からは外れる。




とりあえず以上。