2012-01-01から1年間の記事一覧

『虐殺器官』 罪と罰、そして死

前回(『虐殺器官』 抑圧者としての母、そして父 - doitakaの日記)に続き『虐殺器官』。前回ポストでは、母、子、父、の関係に着目したが、死、殺害、というモチーフについては正面から扱うのを避けていた。「母」が作品の裏面において支配的なモチーフであっ…

ヱヴァQ 感想(ネタバレあり)

ネタバレ見ないで初見した直後の感想をつらつらと。 以下続く。

『虐殺器官』 抑圧者としての母、そして父

『虐殺器官』読んだので諸々。 特に、クラヴィスの母、という点をちょっと突っ込んで見てみたい。 前提 読んだ直後の自分の感想等は↓。 http://twilog.org/doitaka/date-121022 以下の点は、とりあえず前提ということでいいと思う。 ・ 特殊部隊員としての「…

戦国コレクション20話 明智光秀回 戦国世界への帰還に向けて

光秀回の後半、19話ラストで目覚めてからの続き。今度は現代世界での光秀を描く話である(ISはInnerSide、OSはOuterSide、くらいの対応と思われる)。 本話は、光秀の物語の一部であると同時に、1話アバンのあのシーン、つまりは、戦国武将たちの現代世界…

戦国コレクション17話 劉備回 「名」と歪み

巻き戻って劉備回。 戦コレにおける「名」=秘宝という主題について、改めて見ると意味深な回だったなぁ、ということで色々まとめる。 ブタの呪い=秘宝 本話は、タエ婦人と家政婦・劉備が徐々に打ち解けていく、というお話として普通に見てうんうんとうなず…

戦国コレクション19話 明智光秀回 誤った推理という希望

待ちに待ったというか、どう考えても転換点にならざるを得ない光秀回の前半。探偵ものという奇策で来たわけだが、探偵=真相を暴くもの、とすればこれほど「適切な」組み合わせもあるまい。 茶番劇、それも非常によくできた、と言わざるをえない。 アバン〜…

サミュエル・ベケット『ワット』 その1 ワット=What?

ワット作者: サミュエルベケット,Samuel Beckett,高橋康也出版社/メーカー: 白水社発売日: 2001/10メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (10件) を見る 読んだ。 ベケットは初。「ゴドーを待ちながら」も観たことはない。 手に取っ…

「スローターハウス5」 戦争を語る

映画版の方。スローターハウス5 [DVD]出版社/メーカー: キングレコード発売日: 2009/05/13メディア: DVD購入: 5人 クリック: 54回この商品を含むブログ (32件) を見る 記憶における物事の連続性は、時間によってではなく主観的な関連性によって決定される………

戦国コレクション13話 善住坊回 武将の「名」

順番が前後するが、杉谷善住坊の回について。 1クール目のラストで、実質信長回とも言えるわけで、ちょっと気になったところをまとめてみる。 この回でなんといっても特徴的・謎なのは、現代の女子高生アゲハの存在である。 結論を先に言ってしまえば、アゲ…

戦国コレクション18話 大谷吉継回 天使の降誕

大谷吉継回観た。油絵調の背景、抑えたBGMの中で二人の少女が手紙を交互に朗読する構成、シンプルながら印象深いストーリー、記憶に残る回だった。 もはや過剰に語るのも野暮という感じだが、例によって諸々整理のために書いてみる。 なお、本作は「ダンサー…

「ダンサー・イン・ザ・ダーク」 全ての種類の幸福

ダンサー・イン・ザ・ダーク [DVD]出版社/メーカー: 松竹ホームビデオ発売日: 2001/06/21メディア: DVD購入: 2人 クリック: 236回この商品を含むブログ (188件) を見る 見た。問題作とのことでヒヤヒヤしながらであったが、蓋を開けてみれば大傑作と言ってい…

「おおかみこどもの雨と雪」 母と子と、そして母の物語

観てきた。 良作。 タイトル、イメージからは内容が想像しづらい映画ではあったが、見終わった後で振り返れば、確かにあのイメージはとても正しいと思わせられる。 これから母親になる少女の物語、「特殊な」事情を持った二人の姉弟の物語、そして母親になっ…

「ルナシー」 悪夢とその実現

ヤン・シュヴァンクマイエル「ルナシー」 [DVD]出版社/メーカー: 日本コロムビア発売日: 2007/08/22メディア: DVD購入: 2人 クリック: 79回この商品を含むブログ (39件) を見る タイトルの LUNACY は精神病だか狂気だかという意味だそうで。 端的にまとめれ…

戦国コレクション15話 最上義光回の絵解き

見た。 最上義光がスク水少女になってて、古い洋館に友達と肝試しに〜、っていうウォーなあらすじではあるのだが、もう一つの軸として、最上義光・伊達政宗の、伯母・姪の関係が含まれている。この伯母・姪の関係が、さらに現代世界で生きることと戦国世界で…

「アンチクライスト」 森の女たち

アンチクライスト [DVD]出版社/メーカー: キングレコード発売日: 2011/09/07メディア: DVD クリック: 19回この商品を含むブログ (23件) を見る 参考になるレビューはここらかと思われる。 ・アマゾン、三本の木氏。 http://www.amazon.co.jp/review/RKKMGEXU…

戦国コレクション8話 秀吉回つづき

何度か見直したので再考してみる。 特に、飛ばしたところ。 ・ 朝食を食べる米の独白。 ・ タニシ、ドジョウ、カエルによる劇中劇。 ・ カカシとの会話。 ・ 利休との会話。 そもそもの問題点 秀吉のひょうひょうとしたキャラで覆われてはいるものの、本作は…

戦国コレクション8話 秀吉回の絵解き

さっき見た。 これはマジキチ回と言わざるを得ない…が、何かよくわからんけどとても楽しい。 秀吉ちゃんがとても良い。 けど、分からん分からん言っててもアレなので、ちょっと絵解きの努力をしてみる。 ちなみに元ネタは知らない、ので言及しない。 全体の…

Prologとか論理プログラミングについて色々

ここ最近、論理プログラミングとか、Prologについて調べてたので現状のまとめ。 発端 VDMとかAlloyとか、形式手法関連を色々調べていた途中でPrologの存在を知る。 論理型言語ということで、いまいちイメージが掴めないところがあった。 最近、本腰入れて調…

物語論をゲームに適用するために その3 聴きについて

前回の語りに対して、聴きについて考える。 聴きの機能 編集は、語り手だけに可能な行為であろうか。 聴き手は、本を途中から読むことができる。1ページおきに読むこともできる。あるいは口頭で語られる話を、聴き逃すことができる。 現象としての連続体は…

「ケモノヅメ」 物語の否定

「ケモノヅメ」 全話ぶっ通しで見たので感想等。 2006年にWOWOWでR15指定でやってたそうで。 同じ湯浅監督の「カイバ」はレンタルで見た。 OPとかの第一印象 簡素で、デッサンそのままという絵柄だが、手書き風味が残った画風が、逆に動いているように見える…

物語論をゲームに適用するために その2 語りについて

前回に引き続き。 前回の視点に立った上で、改めて、語り、聴きの機能を考える。 特に、聴く行為を掘り下げることで、インタラクティブなメディアとは何か、という問題に近づくことができる、はずである。 …というところだが、今回はとりあえず語りまで。 語…

物語論をゲームに適用するために その1

ジュネットが『物語のディスクール』で提示した物語に関する理論を、インタラクティブメディアたるゲーム(デジタルゲーム)に適用することを考える。 何回かかかると思うが、今できる分まで。 以下をポイントとして挙げる。 ・物語とは何か。物語内容とは何…

ジュラール・ジュネット『物語のディスクール』

物語のディスクール―方法論の試み (叢書記号学的実践 (2))作者: ジェラール・ジュネット,花輪光,和泉涼一出版社/メーカー: 水声社発売日: 1985/09/01メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 14回この商品を含むブログ (21件) を見る 読んだ。 いわゆる物語論の…