アバターサービスとしてのラブプラス、を通してゲームにおける物語云々

またラブプラスネタか…と思いつつ。


ラブプラスにも着せ替えの概念はある。というか「彼女」を自分好みに変える、というのがゲームの「売り」なわけだが、それは置いておいて。
単純に、
・ゲーム内にキャラクターがいる
・プレイヤーの操作に応じてキャラクターの姿形が変わる
という要素だけを見れば、ラブプラスといわゆる普通のアバターサービスは同じである。


だが、普通のアバターサービスでは、キャラクター=プレイヤーであるのに対し、
ラブプラスでは、キャラクター=他者である。
故に、「プレイヤーの操作」が「キャラクターの姿形の変化」に反映されるまでのステップ数が全く変わってくる。
そのステップ数がプレイヤーとキャラクターとのコミュニケーションであり、ゲーム性であり、プレイボリュームになる。


また、キャラクターの所有するアイテム(服、アクセサリー)がプレイヤーの所有物ではない、という点も異なる。
ラブプラスではアイテムの獲得はゴールではない(そもそも獲得の機会も少ないが)。
苦労して手に入れたレアアイテムをアバターに装備させて街をねり歩いて見せびらかしてウハウハする、というゲームではなく、
「彼女」がデートで好みの服を着てくれてたらラッキー(ただし一期一会)、というゲームなわけである。


単純な所有の仕組みがない故に、ラブプラスでは、フルコンプの概念が成立しない。せいぜい、「全アイテムを見たことがある」程度。
これにより、単純な着せ替えシステムと比べてアイテムの陳腐化速度を遅くできている、はず。
また、プレイヤー間でのやり込み度合いの差が、アイテム所有数等による単純な優劣として表れないため、プレイヤー間のコミュニケーションの障害要因をつぶせている、はず。
達成感を感じさせにくい、死蔵されるアイテム数が多分増えてる、といったデメリットはあるものの、
ゲームのコンセプトには即しているし、納得感もあるので、いいシステムではないだろうか。


※ アイマスも所有型、だったはず。
  エロバレーことDOAXでは、相方へのアイテムプレゼントの仕組みがあったので単純なアイテム所有型とは一味違った。



で、以上を踏まえての問題提起。
「キャラクターとアイテム」という同じリソースを使っていて全く別のシステムが組み上がった。その差異はどこから来るか。


それは文脈の差であり、プレイヤーに与えられた「物語」の差であろう、と。
片や、

 このキャラクターはあなたの分身です。さあ、冒険し、アイテムを集めて己を着飾りましょう。

という物語であり、片や、

 このキャラクターはあなたの彼女です。仲良くなって好みを伝えると、好みにあった格好をしてくれるかもしれません。

という物語である。
(「物語」というか「設定」かもしれないが、広義の物語ということで)



ゲームの本質は「システム」であると思う。
「システム」というのは「独自のルールと入出力を持つもの」である。


ゲームにおいて物語は様々な役割を持つ。
ラブプラスを例にすれば、
・キャラクターがプレイヤーの彼女である、という大きな物語(=設定)は、システムを覆う殻としての物語である。
・イベントや登下校時のキャラクターとプレイヤーの会話劇は、ゲームを起動して彼女に会う、というプレイヤーの行動への報酬としての(小さな)物語である。
・複数のDSをつないでのキャラクター同士の会話は、プレイヤーの行動結果から生成される生きた物語である。


にょろにょろ。


ゲームにおけるストーリーテリングが、語るにも扱うにも難しいのは、システムが固定されていないからであろう。
映画とか小説にもシステムは存在するわけだが(映画館のスクリーンで上映するとか、書籍状になっていてページ単位で閲覧するとか)、こいつらはほぼ固定されており、物語はこの上に乗っかるだけで済む。大抵の場合。


ゲームでは、RPGSTG、ACT、SLG、ノベルゲーム、と色々あり、しかもそのジャンルの壁も随時崩れつつあるという状況。
だからこそ可能性があって面白い、とも言えるが、ノウハウの蓄積が効きづらい、という点が問題。
物語的な意味での傑作の出現率は必然的に下がらざるを得ないか。
(その分当たれば大きいだろうけど)


少々脱線だが、RPGが「ボリュームのある物語を語るシステム」と認識されたことは良くもあり、悪くもありか。
最近JRPGがバッシングされる流れになっているみたいだが、RPGが物語を鑑賞するためのメディア(システム)という地位にまで押し上げられたのは、それだけのクオリティのものを提供できた証左なわけだし。
成功体験にしがみついて新しい物を生み出せなくなるってのはよくないけど。



話がグダグダになってきたのでまとまらず終了。


現状の問題点
・ 「物語」とか連呼してるけど、それは結局なんなのよ。